石灰化のメカニズム

わずかな狂いも許されない体内カルシウム濃度

体内のカルシウムの大半が骨に分布していますが、血液や細胞内にも微量に存在しており、その配分は骨:血液:細胞=1億:1万:1の比率で厳密に維持されています。血液中あるい細胞内のカルシウムは、生体の神経の反応や細胞内シグナル伝達など、生命維持に欠かせない役割を果たしています。血液や細胞内のカルシウム濃度は、わずかな狂いが生命の存続にかかわるため、カルシウム不足によって濃度が低下すると、骨中のカルシウムを血液中に放出し、濃度を保とうとする働きが起こります。

アンチエイジングの盲点「石灰化」

骨から血中へカルシウムが放出されることにより、血中はカルシウムの洪水となります。すると、血中のカルシウム濃度を一定に保とうとする働きにより、過剰なカルシウムは体中の細胞に蓄積されたり、酸化で損傷した血管に沈着します。カルシウム不足が、結果的にカルシウムの洪水を引き起こしてしまうこの現象を、「カルシウム・パラドクス」といいます。
例えば、血液中の過剰なカルシウムは、血管壁に沈着して石灰化を引き起こします。骨粗鬆症患者のCTを撮ると、骨がスカスカになっている一方、心臓をとり巻く冠動脈にカルシウムが過剰にたまり、石灰化しているケースが少なくありません。

随所にあらわれる「カルシウム・パラドクス」の弊害

「カルシウム・パラドクス」により、血液中および細胞内で増加したカルシウムは、細胞に蓄積されたり、酸化によりダメージを受けた血管に沈着します。細胞に蓄積したカルシウムは、アルツハイマー病や糖尿病のリスクを高め、血管に沈着したカルシウムは動脈硬化を引き起こします。また、再び骨に沈着してOA(変形性膝関節症)の原因になることもあります。
また、細胞内のカルシウム濃度が上昇すると、活性酸素の過剰生産が起こり、酸化ストレスが強まることも分かっており、日々のカルシウム摂取は老化防止の観点からも非常に重要なのです。